シルヴィ・ギエム『カルメン』
皆さま、こんにちは MIDORIです
11月も後半・・・あっという間に過ぎてしまいました
先週、来日中のシルヴィ・ギエムのマッツ・エック版『カルメン』を観てまいりました
カルメンを踊るシルヴィ・ギエムをはじめ、ホセ役にはミラノ・スカラ座からマッシモ・ムッル、その他の配役は東京バレエ団でした。
シルヴィ・ギエムが2年前に来日し、2年ぶりに東京バレエ団を観ましたが、その間に、団員の顔ぶれがガラリと変わっていてビックリしました
特に男性ダンサー(中堅から若手)が、ほとんど知らない顔ぶれ・・・女性ダンサーも、かつてプリンシパルだった方々が退団されたようで、完全に世代交代したんだなという印象を受けました
そんな中、日本初演となるエックの『カルメン』は、日本人ダンサーの細かい部分を気にしなければ、とても素敵に仕上がった舞台だったかと思います。
もちろん・・・どうしても否めないのが、日本人ダンサーの中にフランス人のシルヴィ・ギエムとイタリア人のマッシモ・ムッル二人が存在するのには、やはりかなりの違和感があります
が、全体的には迫力もあり、音楽の素晴らしさや、エック独特の振付の斬新さは、余すところなく観る者に伝わってきていたと感じました
シルヴィ・ギエムも語っていますが・・・エックのカルメン像は、オペラや他のバレエ作品とはかなり違っていて、とても生々しい人間像となっています。
カルメンは、けだるく、かなり荒々しく、情熱的な部分と冷酷な部分をすべて表にだしている女性。。。対して、ホセは、まじめで、内に秘めた情熱をもち、影がある男性・・・カルメンと比較すると、まるで太陽と月。。。
エックの『カルメン』作品は、どちらかというと、カルメンではなくホセの方をよりフォーカスして構成しているように感じ、そういう部分をとってみても、一般的な『カルメン』の印象とは違って観えました。
また、一つ一つの振りがポアントとは間逆で、地に這うような足さばき、クラシックバレエでは考えられない背骨を丸く曲げた脱力感いっぱいの背中や首を前に出して、かかとからドタドタ歩く姿・・・一瞬、どうしてそんな振り?と頭をよぎる滑稽なポーズ・・・
などなどのオンパレードな振付なのですが、50分ノンストップのスピーディーな『カルメン』を観ているうちに・・・美しく舞うバレエ作品よりも、それぞれの登場人物の心のうちがダイレクトに伝わってきたかなと思いました。
主要人物のカルメンやホセの心の葛藤を通して・・・なぜか客観的に観ているはずの自分までもが、普段出すことのない内面、、、無意識に隠してしまっている深層心理の部分をえぐられているような感覚を味わい、観ている私まで、だんだん身体が高揚してくる不思議な作品でした。
ちょっと言葉で説明するのは難しく、うまくお伝えできてないとは思いますが、、、気が付いたら、自分自身が作品にのめり込んでしまう味わい深いマッツ・エックの『カルメン』 ぜひ、また再演していただきたいです
さて、28日からは、同じくシルヴィ・ギエムとアクラム・カーンによる『聖なる怪物たち』が上演されます
http://www.nbs.or.jp/stages/1311_sacredmonsters/index.html
『カルメン』に引き続きポワントを履かないコンテンポラリー作品となりますが、また新たな一面を見せてくれると期待が高まります
投稿者:MIDORI
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